ジャニオタの娘が病み上がりの父親を助手席に乗せた話

―事件は会議室で起こっているんじゃない!車内で起こっているんだ!―

 

って私の中の織田裕二が叫んでた。

 

そう、事件は私の運転する車内で起きたのだ。登場人物は以下。

 

私:いわゆるジャニオタ。20代前半の性別は女。

父:どこにでもいそうなおじさん。縦にも横にも大きめ。

 

仕事の早く終わった私は、母から父親を病院まで迎えに行ってほしいと頼まれた。迎えに行って、家まで帰ってきた、で終わるのが普通の娘の送り迎えだ。忘れてはならない。私はいわゆるジャニオタだ。車の中はジャニーズの曲で溢れている。今は嵐とNEWSとテゴマスとキスマイと舞祭組の曲が大量に入っていて、それを垂れ流してドライブを楽しんでいる。が、しかし。これが事件を引き起こした。

私はその大量に入ったジャニーズの曲を「ランダム再生」にしている。だから、何が流れるか分からないのだ。キスマイなのか嵐なのか、はたまたテゴマスなのか。聴いてみないと分からない。それが楽しかったりするのだが…今日もその調子で「ランダム再生」にしていた。この後「ランダム再生」にした自分を憎むことになるとはこのときの私はまだ知らない。

 

病院に向かい、父を乗せた。そのときはNEWSがかかっていた。穏やかに過ごす時間。あ、ここで1つ補足をしておくが、私と父の会話はほとんどない。家でも外でも変わらず会話などない。まあ父から話しかけてくることもあるが、それに対して私は「うん」とか「ううん」とか、それくらいしか言わない。会話らしい会話が続かない。親子としては割と冷め切った関係である。そのため、車内では音楽がこれでもかというくらいによく聴こえる。病院から5分くらい走ったところで私は「ランダム再生」の洗礼を受けることになる。NEWSが流れて安心しきっていた私に聴こえてきたのは…

 

 

 

「好きすぎて 張り裂けそうさ 君はこの想いに気づいてない」

 

 

 

分かっている。宮っちのソロ曲が楽しい曲で面白い曲で盛り上がる曲だというのは分かっている。しかしだ。この状況で流れるのはやめてくれ。病み上がりの父×無言の車内×宮っちのソロ=地獄でしかない。私は変な汗が止まらなかった。家族だからと、いつもの感じでジャニーズの曲を流してしまったことを後悔した。ボタン1つで次の曲に行けるのだが、そんなことをすれば父親に怪しまれるし、なんせ安全運転を心がけなくてはならない。運転中にボタンを押すなんてことは、できないのだ。カーナビの声がなかったら、耐えられなかった。初めてカーナビに道案内以外で感謝したものだ。ここからというもの、自宅に着くまで逃げられない、かつ終わらないロシアンルーレットが始まった。曲が始まって大丈夫そうな曲だったときの安心感と、曲が終わり次の曲が始まるまでの緊張感。緊張と緩和の連続である。心臓が持たない。ただ父親を家に送り届けるだけの30分なのに…2時間くらいに感じる。

 

NEWSが流れたときの安心感といったら…と思ったけど、NEWSにもチャンカパーナとか渚のお姉サマーとかEMMAとかやばい系の曲あるな…キスマイはなんか、こうなんというかよく分からない曲多いしさ…こういうときに限って安心と信頼の嵐は流れないし。おい!車内に嵐巻き起こしてくれよ…頼むよ…とか色々考えてたときに流れるテゴマスの安心感といったら、音信不通で10年間会っていなかった家族に会えたときのように涙を流したくなるほどだ(そんな経験ない)。あと5分…あと1曲…頼む…頼む…私が思うことはこれだけだった…

 

 

 

「ジョッシー松村のスクリームとワッター弁当だけは流れるな」

 

 

 

そんな私に聴こえてきたのは…

 

 

 

「ぎゅうのフィレにくトゥルトゥルにこんだ ボナペティっておいしいんですか?」

 

 

 

終わった………………

 

忘れてたこの曲の存在…ダークホース来た……変な曲に加えて病み上がりの父親に聴かせるような曲じゃない…生きてるってさポコポンペコーリャ……

 

父の頭の中を想像してみた。※全て私の妄想です。

 

父「パピプペポ…?ポコポンペコーリャ…?ハラヘルヤ…?モグモンモグーリャ…?イキカエル…?なんだこの曲は…なんなんだ…大丈夫か娘よ!!!」

 

私「あああああ。違うんだ、父!違うんだ!こんな曲ばかり聴いているわけではないんだ(嘘)ごめんな、こんな娘で。アイアムアジャニオタ、センキュー(意味不明)。」

 

こうして私の任務は父親への後ろめたさと共に終わった。私がしくじり先生に出られるのならこの話をして、こう教訓を伝えたい。

 

「助手席に誰かを乗せるときはBGMに気を付けよう」

 

※ここでは曲をディスる表現が多々出てきますが、これは病み上がりの父親が助手席にいることによって生じる感情であり、通常はとてもすばらな曲なので悪しからず。